Ⅰ
早かれ遅かれ、オレらは冷たい闇の中に堕ちていくんだ。
あばよ。夏のあっと言う間の輝き!
もうオレには、庭の敷石に薪が崩れる、
陰惨な音が聞こえているのだ。
冬がオレの中へ滑り込もうとしている。
憎しみ、恐れ、震え、強いられた過酷な労働。
するとオレの心は、北極にあがった太陽のように、
赤く凍った塊でしかなくなるだろう。
オレは震えながら、崩れる薪の音を指折って聴いている。
処刑台を組み立てる音も、これほど鈍くはないだろう。
ひっきりなしに大槌で打たれた倒壊寸前の塔に、
オレは似ている。
この単調な振動を受けていると、
どこかで棺を閉じようと釘を打ち付けているのではないかと錯覚してしまう。
でも、誰の棺だ? ———昨日は夏だった。はや今日は秋だ!
この不思議な物音は、冬は近いと繰り返し語っている。
Ⅱ
お前の切れ長の眼の緑がかった光が好きだ。きれいだ。
しかし今日は、どうしてそんなにうかない顔をしているのだ。
お前の愛撫も、このあたたかい寝室も、すべてが、
海に輝く太陽に劣ってはいないのだ。
もっとオレを愛してくれ。やさしい女!
卑怯者で、ひねくれ者のオレの母になってくれ。
冬の前の黄金の秋、あるいは夜の前の光沢の夕暮れ、
恋人でも姉でも、一時のセフレでもいい。
生きる時間なんてあっと言う間! 墓が腹をすかして待っている!
お願いだ、このままお前の膝の上に額を置いたまま、
白く焦げる夏を思い出しながら、
終わり行く季節の、黄金の輝きを吸い込ませてくれ!