暇つぶしに、船乗りさんは、
アホウ鳥を、生け捕りして、弄ぶ。
アホウ鳥は、調子にコイて船尾にホイホイとついて来くる。そして、
難なく、捕まえられる。だからアホウ鳥。
アホウだが、※1なにしろデカい。一見すると、
空の王者のようだ。ところがどっこい、
生け捕りしたこの鳥を、甲板に縛り付けると、
大きな翼を両脇に引き摺って、情けねぇかっこうになる
おどおど、怖気づいて、
あの空を翔けまわる、王者の風格は、もうどこにもねぇ。
船乗りさんは、錨のタトゥーの腕伸ばし、煙草の火で嘴を突っつく。
それに、ビッコ曳く格好真似て、大ウケしているやつもいる。
どうだ、アホウ鳥は、詩人に似ていないか?
シケの大海さえ、悠々、翔ける王者のアホウ鳥が、
地べたに追いやられると、
する事なす事、ぶきっちょになる。詩人なんか、カタワさ。
※1 アホウ鳥は翼をひろげると3メートルある。