悪(ワル)の華

ボードレールは、人間を『退屈』に住む『悪』だと思っていたようです。『悪』を詠えば、人間の本質に迫れました。 『悪』はまた、衝動的で扇動的で曖昧でした。 衝動的で扇動的で曖昧なものは、おもしろおかしく好き勝手に扱えました。 『悪』は、『滑稽』にも『美』にも『神』にさえなれました。 こうして人間は、『滑稽』や『美』や『神』に変えられました。 ボードレールのやったことは、それだけのことです。では、ボードレールの言葉遊びに浸りましょう。文中、極めて不道徳で不適切な単語や表現が使用されています。予めご了承ください。

58 午後の歌

その反り返ったまつ毛は、

お前(めぇ)独特のもんだよなぁ。

天使にゃあ似ても似つかねぇが、

オレをイチコロにするクソビッチめ。

 

しつこいなぁ、愛しているよ尻軽女。

オレの欲情!

偶像をおがむ坊主のように、

オレはお前(めぇ)の前にぬかついても構わねぇ。

 

砂漠と森林の気が、

お前(めぇ)の硬く編み上げた髪を臭いたてて、

お前(めぇ)はすまし顔の、

思わせぶりでオレを惑わす。

 

肌に女の体臭をまとって、

オレは香炉を抱いたみてぇになる。

お前(めぇ)の不思議さは夕暮れそのもの、

熱を持った薄暗い妖怪だよ。

 

どんなに純度の高いヤクでさえ、

お前(めぇ)のフェラチオにはかなわねぇ。

お前(めぇ)の技巧は、

死人さえも生き返らせるだろうよ。

 

その背中と胸は

クネクネと動く腰の操り人形。

お前(めぇ)は退屈そうにソファーに横になって、

クッションまでも夢見心地にさせている。

 

そして時々おきる理不尽な癇癪を、

誰彼構わず、

噛みつき、口づけの当てこすりで、

鎮めるんだろ。

 

そして嘲笑を浮かべながら、

オレの身体を真っ二つに引き裂いて、

サッと顔色を変えたかと思うと、

月のような優しい笑顔を、オレの転がった心臓に向ける。

 

お前(めぇ)の絹で包まれた、

その繻子の靴の下に、

オレの快楽と、

脳味噌と、宿命が転がっている。

 

オレはお前(めぇ)の足元でエクスタシーを感じ、

光と色彩のお前(めぇ)の思し召しで、

オレの暗黒に雷(いつづち)を落としてくれ!

射精の絶頂を!