悪(ワル)の華

ボードレールは、人間を『退屈』に住む『悪』だと思っていたようです。『悪』を詠えば、人間の本質に迫れました。 『悪』はまた、衝動的で扇動的で曖昧でした。 衝動的で扇動的で曖昧なものは、おもしろおかしく好き勝手に扱えました。 『悪』は、『滑稽』にも『美』にも『神』にさえなれました。 こうして人間は、『滑稽』や『美』や『神』に変えられました。 ボードレールのやったことは、それだけのことです。では、ボードレールの言葉遊びに浸りましょう。文中、極めて不道徳で不適切な単語や表現が使用されています。予めご了承ください。

59 デカ長の下島

想像してみろよ、拳銃をぶら下げたオマワリ秋山を。

チンピラを泳がせ、ヤマ見をし、大物を追い詰め、

汚れた制服で、狙い定めた照準をホンボシに合わせる。

それは、武勇を誇る騎士にも負けない姿だ。

 

知らないだろう検察官安田の起訴を、

あいつは、自分をよくわきまえたお武家様だ。何より出世を愛した偽善者。

冷笑を浮かべ、朗々と調書を読み上げ、

被告人を指さしながら、極刑を求める、あの勇姿!

 

これに似て非なるのが、デカ長の下島! こいつは食えなかった。

千切ったボタンを掌に隠し、令状云々とほざくクズの前で、

ボタンを落として、公務執行妨害現行犯でワッパをかける。

 

面倒な場合には、お手軽なゼンレキをクロにして手柄にする。

ただし、ツレを売るチンコロ野郎には、

こずかいをやる優しさもあった。点数稼ぎのために。