張りたての弦で、お前(まえ)を歌う。
寂しがり屋のオレの中で、
駆け回る若い女鹿のお前。
花で飾って有頂の、
無邪気なお前を見ていると、
罪は全部許されるのではないかと思われる。
磁力を持ったお前との、
口づけで流れる唾液は、
飲めば、何もかも忘れることが出来る奇跡の水のようだ。
ワルに誘われ、
道に迷ったとき、
女神となってオレを導いてくれた。
にっちもさっちも、八方塞のオレに、
方角を示す星になってくれた。
オレは、どんなに感謝してもしきれない……。
美徳を満々とたたえた湖、
永遠の若さの泉。
無口なオレに、声を思い出させてくれた!
卑しいものを癒した。
粗野なものを諭した。
弱虫を鍛えたてくれた。
飢えた時の部屋になってくれた。
夜の灯でもあった。
いつもオレに不自由をさせなかった。
気持いい匂いで充満した、
浴槽のように、
今一度、オレに気力を与えてくれ!
そしてオレを、セックスで慰めてくれ。
天上の水に浸された、
貞操の鑑。
宝石のグラス。
おいしい食事と酒。
それは、フランソワーズ。