Ⅰ
荒れ果てた川岸に、
人体解剖図が散らばっていた。それは、
死体が放置されているようにも、
古代のミイラが眠っているようにも見えた。
この陰惨な素描画には、
真面目な老画家によって、
題材の趣旨はさておき、
とにかく『美』が吹き込まれていた。
『皮を剥がれた標本』や『骸骨図』が、
百姓のように地面を掘り起こしていた。
よく目ん玉を凝らしていたら、そこに、
完璧な人体が見えてきた。
Ⅱ
奴隷のような百姓たちよ、
墓から引きずり出された罪人たちよ。
お前たちが皮を剥がれた筋肉や背骨をせっせと動かして、
地面を掘り返せば、
どんな奇態な収穫物が得られるのだ?
教えてくれ。
そして、どこの蔵にその収穫物を納めるのだ?
言ってくれ。
お前たちの労働は、あまりに残酷な宿命の、
証拠なのか。
墓の中でさえも、眠りは約束されていないと、
オレたちに言いたいのか?
オレたちは、虚無にさえ裏切られると言うのか。
死さえも、オレたちを騙すと言うのか。
きっとオレらは、永遠に、
どこか遠くの、
見知らぬ国で、
血まみれの素足で、
硬い地面を鋤でもって、
掘り起こさなければならない運命なのだろう。