悪(ワル)の華

ボードレールは、人間を『退屈』に住む『悪』だと思っていたようです。『悪』を詠えば、人間の本質に迫れました。 『悪』はまた、衝動的で扇動的で曖昧でした。 衝動的で扇動的で曖昧なものは、おもしろおかしく好き勝手に扱えました。 『悪』は、『滑稽』にも『美』にも『神』にさえなれました。 こうして人間は、『滑稽』や『美』や『神』に変えられました。 ボードレールのやったことは、それだけのことです。では、ボードレールの言葉遊びに浸りましょう。文中、極めて不道徳で不適切な単語や表現が使用されています。予めご了承ください。

112  出来のいい姉妹

『快楽』と『死』は、気立てのいい姉妹。

気前よくキスをしてくれるし、なんたって元気。

セックスが大好きだと噂されているが、当の本人たちは、ボロのスカートを捲し上げ、

あくまで処女だと言い張っている。確かに子を孕んだと耳にしたことはない。

 

詩人と言う者は、健全な家庭生活の敵、地獄の人気者、

安月給の宮廷人。つまり百害あって一利なしの厄介者。

淫売宿と墓が用意してくれるのは、涼しい木陰の、後悔を忘れさせるベッドと棺桶。

 

ベッドと棺桶は、極上の冒涜の言葉で軋む。

そして代わる代わる、恐ろしい快感と、

身の毛のよだつ甘美をオレたちに与えてくれる。

 

お前はいつオレを埋葬してくれるのだ、汚れた手の『快楽』よ!

『快楽』勝るとも劣らない魅力を持った『死』よ、いつ訪ねて来てくれるのだ!

※1糸杉に、臭い※2ミルトを接ぎ木することは可能なのか?

 

※1糸杉は『死』の象徴。

※2ミルトは、『婚礼』の象徴。