悪(ワル)の華

ボードレールは、人間を『退屈』に住む『悪』だと思っていたようです。『悪』を詠えば、人間の本質に迫れました。 『悪』はまた、衝動的で扇動的で曖昧でした。 衝動的で扇動的で曖昧なものは、おもしろおかしく好き勝手に扱えました。 『悪』は、『滑稽』にも『美』にも『神』にさえなれました。 こうして人間は、『滑稽』や『美』や『神』に変えられました。 ボードレールのやったことは、それだけのことです。では、ボードレールの言葉遊びに浸りましょう。文中、極めて不道徳で不適切な単語や表現が使用されています。予めご了承ください。

28 踊る蛇

やべぇ、やべぇ、つい見惚れちまった。ふて寝するアンタによぉ。

その肌は、サテンのようにぬめっていて、

時にそれが、ブルッと震え、

ジトッとテリを滲ませて光り、本当、たまんねぇんだよ。

 

髪は奥深いところで、

臭いもきつく、

青色と茶色の波を打ち返し、

はてのない海原となっている。

 

その海原に、さまよう一艘の船は、

オレの魂だ。

船が潮風にハッと覚醒するように、

アンタの臭いに、魂の帆をオレは張る。

 

アンタの目には、優しさも苦しさも

微塵も留まっていない。

それは、ふたつの、

冷酷な宝石だ。

 

ケツを振りながら歩く、

ビッチのアンタは、

例えて言えば、杖の先に合わせて、

踊る蛇だ。

 

頭が悪すぎて、その悪さに、

アンタは耐え切れず、

生まれたての小象のように、

ふらふらと立ち上がる。だが、

 

その身体は傾いて、アンタは倒れる。

細身の船が、

横ざまに転倒して、帆柱を、

波間に沈めていくのに、それは似ているよ。

 

氷河が音を立てて崩れ、

渦を巻きながら、水嵩を増やすように、

アンタの唾液が、その並んだ歯の岸辺に、

打ち寄せて来る。

 

オレはボヘミアのワインを飲み干すように、

唾液の苦さとしつこさを味わう。

まるで、夜空を液体にして喉をくぐらせるように、

オレの中に、星が落ちてくるのだ!