悪(ワル)の華

ボードレールは、人間を『退屈』に住む『悪』だと思っていたようです。『悪』を詠えば、人間の本質に迫れました。 『悪』はまた、衝動的で扇動的で曖昧でした。 衝動的で扇動的で曖昧なものは、おもしろおかしく好き勝手に扱えました。 『悪』は、『滑稽』にも『美』にも『神』にさえなれました。 こうして人間は、『滑稽』や『美』や『神』に変えられました。 ボードレールのやったことは、それだけのことです。では、ボードレールの言葉遊びに浸りましょう。文中、極めて不道徳で不適切な単語や表現が使用されています。予めご了承ください。

33 後悔

黒い大理石の墓石の下、暗黒の中に、

アンタが眠りにつくとき。

住処とかベッドとか、よく人が口にするものが、

雨の染み入る穴倉となったとき、

 

石の重みが、アンタのやわな脇腹と、

怯える胸を圧迫し、

心臓の鼓動も、希望を抱くことも許されず、

そして、その男を追いかける足も、動かなくさせる。

 

墓は、オレの夢を聞いてくれる相棒だ。

(なぜなら、墓は詩人の言葉を理解できるからな……)

眠れない、夜のまにまに、

   

オレはアンタに言っておきたい。「中途半端な淫売さんよ。

死者たちが泣く理由を、理解できないからって、それが何なんだよぉ」

———そんなことより、後悔が、蛆虫のようにアンタの肉を噛んでいるぜ。