悪(ワル)の華

ボードレールは、人間を『退屈』に住む『悪』だと思っていたようです。『悪』を詠えば、人間の本質に迫れました。 『悪』はまた、衝動的で扇動的で曖昧でした。 衝動的で扇動的で曖昧なものは、おもしろおかしく好き勝手に扱えました。 『悪』は、『滑稽』にも『美』にも『神』にさえなれました。 こうして人間は、『滑稽』や『美』や『神』に変えられました。 ボードレールのやったことは、それだけのことです。では、ボードレールの言葉遊びに浸りましょう。文中、極めて不道徳で不適切な単語や表現が使用されています。予めご了承ください。

46 ゴロツキの朝

目覚めたオレの顔に、

白っちゃけた朱色の光が、『理想』を引っ提げて射し込んだ。

すると、さすがのオレの中にも、

会心しろと、天使が目覚めちまった。

 

『道徳』の眩しい朝焼けが、

意気地のねぇ、しかめっ面したオレの前に、

この世を吸い込む勢いで、輝いた。

するとさっきの天使が、

 

乱痴気騒ぎのような夜明けを横目に、

涼しい顔して軽々と、

やっと意識のハッキリしてきたオレの前で、ステップを踏んだ。

 

と、その瞬間だ。朝日が部屋の照明を、オレに馴染んだ黒に変えた。

そして、性悪女のアンタのまぼろしが、またオレを虜にした。

やっぱりアンタの勝ちだ。アンタは太陽に勝ったんだ!