お前の眼差しには、靄がかかっている。
読めねぇ。
ご機嫌だと思ったら、夢見るように虚ろになり、
夢見心地なんだぁ、と思えば、無残に青ざめた空を映し出している。
色恋沙汰に翻弄され、情けねぇことだが、涙を流し、
屈辱と敗北に、気が滅入り、
ただ神経だけは昂る、あの、
どんよりした曇り日は、アンタそのものだ。
あの地平線にも、アンタは似ている。
濃霧の季節に、太陽の光の雫が地平線に滴り、
滴った瞬間、雫が炎と燃え立つ地平線。
アンタもまた、炎に湿った景色だ。
危険な女よ! 人を惑わす自然の成り行きよ!
オレは、雪をも霜をも、愛することが出来るだろうか?
そして真冬から、氷柱や剣よりも鋭い、
快楽を引き出すことが、はたして出来るだろうか?