悪(ワル)の華

ボードレールは、人間を『退屈』に住む『悪』だと思っていたようです。『悪』を詠えば、人間の本質に迫れました。 『悪』はまた、衝動的で扇動的で曖昧でした。 衝動的で扇動的で曖昧なものは、おもしろおかしく好き勝手に扱えました。 『悪』は、『滑稽』にも『美』にも『神』にさえなれました。 こうして人間は、『滑稽』や『美』や『神』に変えられました。 ボードレールのやったことは、それだけのことです。では、ボードレールの言葉遊びに浸りましょう。文中、極めて不道徳で不適切な単語や表現が使用されています。予めご了承ください。

124 一日の終わり

湿っぽい光の下で、

無邪気に駆け回り、小躍りして、身体を捩るのは、

馬鹿馬鹿しくて騒がしい『人生』だ。

それだけに死は、

 

地平線に艶めかしく現れて、

すべてを、空腹さえも癒し、

また恥辱も消し去ってくれるのだ。すると詩人は、

間髪入れずにつぶやく。「やっとだ。

 

やっと、休息と、

安らぎに飢えたこのオレは、

こころを、あの世への憧れで満たして、

 

背骨を伸ばして横たわれる。

そして闇の帳の中にくるまれるのだ。

凄いぜ! 死の暗さに抱かれる恍惚は!