悪(ワル)の華

ボードレールは、人間を『退屈』に住む『悪』だと思っていたようです。『悪』を詠えば、人間の本質に迫れました。 『悪』はまた、衝動的で扇動的で曖昧でした。 衝動的で扇動的で曖昧なものは、おもしろおかしく好き勝手に扱えました。 『悪』は、『滑稽』にも『美』にも『神』にさえなれました。 こうして人間は、『滑稽』や『美』や『神』に変えられました。 ボードレールのやったことは、それだけのことです。では、ボードレールの言葉遊びに浸りましょう。文中、極めて不道徳で不適切な単語や表現が使用されています。予めご了承ください。

125  変わり者の夢

お前はこのオレのように、苦痛の快感を理解できるだろうか?

「変な奴だなぁ……」って、お前は言われたことはあるか?

———オレは『死』を待っていた人間だ。『人生』を諦めきった人間の『死』は、

恐怖と混ざり合った欲望なのだ。気持ちのいい不思議な苦痛なのだ。そして、

 

『死』は新しい希望なのだ。だから『死』に逆らう気持ちなどオレにはない。

運命の砂時計の砂が下に落ちるほどに、

オレの苦悶はより激しく、そして甘美になっていった。

オレは既に、この馴染んだ世界から引き裂かれていたのだ。

 

オレは見世物を待ち焦がれるガキのように、

舞台に下りている幕を邪魔だと思っていた。

しかし、オレに冷酷な真実が暴かれた。

 

オレはすでに、あっさりと死んでいたのだ。周りを見渡せば白っぽい光に溢れていた。

オレは驚きもしなかった。「なんだぁ、『死』ってこれだけのことか!」

もうとっくに見世物は始まっていたのに、オレはアホずら晒して幕開きを待っていたのだ!