悪(ワル)の華

ボードレールは、人間を『退屈』に住む『悪』だと思っていたようです。『悪』を詠えば、人間の本質に迫れました。 『悪』はまた、衝動的で扇動的で曖昧でした。 衝動的で扇動的で曖昧なものは、おもしろおかしく好き勝手に扱えました。 『悪』は、『滑稽』にも『美』にも『神』にさえなれました。 こうして人間は、『滑稽』や『美』や『神』に変えられました。 ボードレールのやったことは、それだけのことです。では、ボードレールの言葉遊びに浸りましょう。文中、極めて不道徳で不適切な単語や表現が使用されています。予めご了承ください。

40 いつものこと

「何が不満なの? 何なの?

 いったい、何を悲しんでいるの?」いつもお前ぇは、オレにそう尋ねた。

人ってもんは、へんに余裕ができたら、

「生きていることも、また苦痛だ……」みてぇな、面倒くせぇことで、カッコウをつけるもんだ。

 

これはな、神経が細くて脳ミソを使うのが好きな暇人が、いつも落ち込む癖だ。珍しくもねぇ。

お前ぇの機嫌といっしょで、一目瞭然の事実だ。

だからよぉ、オレに対して、もう変な詮索はよせよな。

声が自慢でも、黙ってろよな。うぜぇからよぉ。

 

きれいな顔した、パッパラパーの女!

黙ったら、お前ぇ、かわいい口元してんじゃねぇかよぉ! 所詮、

オレらみんな、くたばっちまう運命だ!

 

だからよぉ、せめてオレは、ウソっぱちで出来たこの世界に夢中になりてぇんだ。

そして、お前ぇの瞳に、半閉じの目で沈んでいって、

そのまつげの陰で、お陀仏してぇもんだ!