40 いつものこと
「何が不満なの? 何なの?
いったい、何を悲しんでいるの?」いつもお前ぇは、オレにそう尋ねた。
人ってもんは、へんに余裕ができたら、
「生きていることも、また苦痛だ……」みてぇな、面倒くせぇことで、カッコウをつけるもんだ。
これはな、神経が細くて脳ミソを使うのが好きな暇人が、いつも落ち込む癖だ。珍しくもねぇ。
お前ぇの機嫌といっしょで、一目瞭然の事実だ。
だからよぉ、オレに対して、もう変な詮索はよせよな。
声が自慢でも、黙ってろよな。うぜぇからよぉ。
きれいな顔した、パッパラパーの女!
黙ったら、お前ぇ、かわいい口元してんじゃねぇかよぉ! 所詮、
オレらみんな、くたばっちまう運命だ!
だからよぉ、せめてオレは、ウソっぱちで出来たこの世界に夢中になりてぇんだ。
そして、お前ぇの瞳に、半閉じの目で沈んでいって、
そのまつげの陰で、お陀仏してぇもんだ!