悪(ワル)の華

ボードレールは、人間を『退屈』に住む『悪』だと思っていたようです。『悪』を詠えば、人間の本質に迫れました。 『悪』はまた、衝動的で扇動的で曖昧でした。 衝動的で扇動的で曖昧なものは、おもしろおかしく好き勝手に扱えました。 『悪』は、『滑稽』にも『美』にも『神』にさえなれました。 こうして人間は、『滑稽』や『美』や『神』に変えられました。 ボードレールのやったことは、それだけのことです。では、ボードレールの言葉遊びに浸りましょう。文中、極めて不道徳で不適切な単語や表現が使用されています。予めご了承ください。

11 悪運

こんな重いもんを持ち上げるには、

相当、根性がいるだろうなぁ。

どんなに頑張っても、

オレ、やり遂げる自信ねぇなぁ。

 

偉業をなし遂げたご立派な人が眠る、そんな墓からは遠く離れて、

平々凡々の輩の眠る墓にまっしぐらで、

オレは、太鼓をたたきながら、

葬送曲のパッとしない拍子をとって進むのさ。

 

しかしだ、きっとそんな墓にも、暗闇と忘却に埋もれた、

眩い宝石が、ゴロゴロしているだろうよ。

だがよぉ。鶴橋もドリルも、それらを掘り当てることなんざぁ、もうねぇだろうなぁ。

 

墓には、たくさんの花が、後悔を肥やしにして、

湿っぽい香りを立てている。

誰にも理解されず、誰にも振り向かれず、虚しさと寂しさを抱えた屍の上で。