オレ様は前世、海辺の景勝地で、豪壮な建物の柱廊の中に暮らしてたんだ。
見上げる柱は、太陽の光を反射して、キラキラ輝いて、
日が落ちたら、
内部は洞窟のように、真っ暗でひんやりしていた。
うねる波は、空の揺り籠のようで、
怒声とも、囁きともとれる、
複雑な音を混ぜこぜにして、
夕日を浴びれば、オレ様の前で色気ついて、ケバい化粧をした。
青い海、たゆたう波、そして強烈な光。
オレ様は、香油を擦りこんだ召使にかしずかれて、
自由気ままに暮らしていた。
ただな、オレ様を、椰子の葉であおぐ召使の熱心さは、買ってやりてぇとこだが、
少々、有難迷惑ってとこで、気難しいオレ様を、
よけいに落ち込ませるだけだった。オレ様は、前世でも面倒くせぇ人間だったのさ。