なあ、かわいい妹。
想像してみろよ、
遠い国に一緒に逃げて、この兄ちゃんと暮らす毎日を!
気が向いたら、ヤクかましてアレをヤッて、
ヤリ飽きたら……、いっそ死んじまおう。
あの世は、お前と相性がいいはずだ。
そこでは、くもり空に、
湿った太陽が浮かんでいる。
それは涙にゆらぐお前の眼差し、そのもの。
禁忌の誘惑、
誹謗の目、
ただ、それがオレを虜にする。
あの世は、『秩序』と『美』と、
『栄光』と、『静寂』と、『快楽』だけだ。
家具は、
年月の手ズレに磨かれて輝き、
オレたちの寝室を飾るだろう。
珍しい花々の、
その香りが、
海の匂いに混ざって、
複雑な絵が描かれた天井や、
澄み渡った鏡が、
専制君主の贅沢な日々を、
何もかも、
死の国の言葉で、
ふたりにそっと囁きかけるだろう。
あの世は、『秩序』と『美』と、
『栄光』と、『静寂』と、『快楽』だけだ。
見てみろよ、運河の上に、
宿命の放浪癖を捨てきれず、
何艘もの船が眠ってらあ。
お前のどんなわがままも、
かなえるために、
世界の果てからやって来た船だ。
沈む夕日が、
野を染めている。
運河も、町も、
赤色と金色に燃えている。
世界は眠りにつこうとしている。
暖かい光の中に。
あの世は、『秩序』と『美』と、
『栄光』と、『静寂』と、『快楽』だけだ。