悪(ワル)の華

ボードレールは、人間を『退屈』に住む『悪』だと思っていたようです。『悪』を詠えば、人間の本質に迫れました。 『悪』はまた、衝動的で扇動的で曖昧でした。 衝動的で扇動的で曖昧なものは、おもしろおかしく好き勝手に扱えました。 『悪』は、『滑稽』にも『美』にも『神』にさえなれました。 こうして人間は、『滑稽』や『美』や『神』に変えられました。 ボードレールのやったことは、それだけのことです。では、ボードレールの言葉遊びに浸りましょう。文中、極めて不道徳で不適切な単語や表現が使用されています。予めご了承ください。

52 ある少女の船出に

おじさんと、二人だけの秘密だよ。まだ分かっていないよねぇ。

お嬢ちゃん自身の、あどけない、可愛らしさを、おじさん、数え上げてみたいなぁ~。

そして、その可愛らしいところを、撮ってもいいかなぁ~。

大人になりきっていない、お嬢ちゃんのきれいなところを。

 

フンワリ膨らんだ、お嬢ちゃんのスカートを見ていると、

おじさんは、沖に進んでいく船をイメージするんだ。

拗ねて、身体をゆらして、

大人の世界に、漕ぎ出すようだよね。

 

丸味を帯びて、少し膨らんだ肩の上に乗っかった。

その可愛い顔が、

無邪気に唇を尖らせて、

怖いもの知らずの、駄々っ子のように、未来を見つめている。

 

こんなこと、おじさんが言ってたなんて、言いふらしたらダメだよ。

お嬢ちゃんの、あどけない、可愛らしさを、おじさん、数え上げてみたいなぁ~。

そして、その可愛らしいところを、撮ってもいいかなぁ~。

大人になりきっていない、お嬢ちゃんのきれいなところを。

 

布地がツンと突き出ている胸元は、

きれいな、きれいな、飾り棚。成長の証だよね。

おじさんには、眩しいよ。

輝く、無敵の盾だよね。

 

ふたつのバラ色の鋲が打ち付けられた、まぶしい盾だぁ。

きっと、いいものがいっぱい詰まっているんだよねぇ~。

お酒に、香水に、ひょっとすると変な薬も仕舞っているのかなぁ?

おじさんを、クラクラさせるものばかりだよねぇ~。

 

その可愛らしい両足が、スカートの襞を蹴るだびに、

おじさんの暗い願いは、いじめられているんだよ。

まるで二人の魔法使いが、

深い壺で、悪い薬をかき混ぜているようだよぉ……。

 

その両腕は、鱗を光らせる蛇のようだよ。

喧嘩っ早い半グレでさえも、その両腕で、

ぎゅうぎゅう締め上げて、

完全に、手玉に取りたいんだよね。悪い子だぁ。

 

丸味を帯びて、少し膨らんだ肩の上に乗っかった。

その可愛い顔が、

無邪気に唇を尖らせて、

怖いもの知らずの、駄々っ子のように、未来を見つめている。