純真・純潔・純情を思い出そう。
まず、お空を眺め深呼吸し、
朝夕は教会の鐘で心鎮め、そして、
風に運ばれる讃美歌でも聴いてみるか。
屋根裏の窓から頬杖ついて、そこいらを見渡したら、
人様の喜怒哀楽や、
まっとうな仕事がどう言うものか分かってきた。
遠くに見える煙突はパリの帆柱のようだ。
工場の煙は大河になって空に流れ込んでいる。
靄を通して、夕暮れに星が産まれるところを見た。
家々の窓に明かりが灯り始めた。
青い月が顔を出した。いい調子だ。
春が過ぎ、夏が去って、秋が身支度を始めたと思ったら、
もう冬になっていた。見るべきものは一通り見た。準備はOKだ。
さぁて、窓という窓を閉めカーテンを引いて、
暗い部屋に引きこもって、天使の宮殿を建てる番だ!
庭を作った。うたを歌う鳥を放った。
白大理石の噴水を泣きむせぶ泉と見なした。
そこで恋人同士にキスをさせた。
どうだ、おとぎ話のお膳立てはすべて揃っただろう。
誰かが窓ガラスを激しく叩いている。
だがオレは机から顔を上げようとは思わない。
なぜなら今、アレのまっただ中だからだ。
頭の中に、アレを呼び出し、
オレの中の アレを抉り出し、
その二つをかき混ぜて、天使の宮殿でアレをさせている最中だ。