悪(ワル)の華

ボードレールは、人間を『退屈』に住む『悪』だと思っていたようです。『悪』を詠えば、人間の本質に迫れました。 『悪』はまた、衝動的で扇動的で曖昧でした。 衝動的で扇動的で曖昧なものは、おもしろおかしく好き勝手に扱えました。 『悪』は、『滑稽』にも『美』にも『神』にさえなれました。 こうして人間は、『滑稽』や『美』や『神』に変えられました。 ボードレールのやったことは、それだけのことです。では、ボードレールの言葉遊びに浸りましょう。文中、極めて不道徳で不適切な単語や表現が使用されています。予めご了承ください。

4 自然

奇跡は自然に隠れている。木々は生きた柱だ。

林を歩けば、

オレを見守ってくれる。

耳を澄ませば、得体のしれないものがつぶやきかけて来る。

 

その声は絶え間なく聞こえる。

遠くどこからともなく、

香りと、色と、声が一つとなって戯れ、

たぶん、暗い奥深いところから聞こえて来るのだ。

 

その声は疲れたように甘ったるく、草いきれと混じり合い、

オレに絡みつくように聞こえて来る。

―その声に、傲慢な腐臭が混じる。声は本物になる。

 

自然は、香りを大判振る舞いしてくれる。

臭いフェチのオレは、全身全霊で囁きに耳を傾ける。

脇の下はどう? 足の指の又は良い匂い? 股の間はお好き? 自然の声にオレの五官が目覚める。