奇跡は自然に隠れている。木々は生きた柱だ。
林を歩けば、
オレを見守ってくれる。
耳を澄ませば、得体のしれないものがつぶやきかけて来る。
その声は絶え間なく聞こえる。
遠くどこからともなく、
香りと、色と、声が一つとなって戯れ、
たぶん、暗い奥深いところから聞こえて来るのだ。
その声は疲れたように甘ったるく、草いきれと混じり合い、
オレに絡みつくように聞こえて来る。
―その声に、傲慢な腐臭が混じる。声は本物になる。
自然は、香りを大判振る舞いしてくれる。
臭いフェチのオレは、全身全霊で囁きに耳を傾ける。
脇の下はどう? 足の指の又は良い匂い? 股の間はお好き? 自然の声にオレの五官が目覚める。