通り過ぎるあんたの靴音が、
天井に響き砕けた。
あんたは、足をふと止めて、
深刻な目をして、周りを見渡した。その時だ。
夕陽に映えるあんた瞳が、
肖像画のそれに似通った。
灯りの穂先が、
あんたの青ざめた額を照らした。
オレは思わず口にした。「なんて、きれいなんだ!」
仰々しい思い出が、王宮の塔のように、
あんたの頭を飾っていた。その胸の内は傷んだ桃のようで、
その身体と同じように食べごろに見えた。
あんたは最高の味がする果実だ!
いや、涙の絶えない重々しい葬儀だ。
砂漠の中の水の匂いだ。
愛撫してくれる枕だ。いや花で編まれた籠だ!
オレは知っている。底知れない悲しみを抱えながら、
まったく秘密を隠していない眼差しと言うものがあることを!
それは宝石のない宝石箱。何も入っていない形見入。
空虚で深遠なもの。そうだ大空にそっくりだ!
真実など信じない者には、うわべっつらの美しさで充分だ!
あんたのおバカ加減や、薄情なんか、クソッ喰らえだ!
見栄で結構! 偽りで上等! その美しさの前では、
真実なんか何の意味もないのだ!