悪(ワル)の華

ボードレールは、人間を『退屈』に住む『悪』だと思っていたようです。『悪』を詠えば、人間の本質に迫れました。 『悪』はまた、衝動的で扇動的で曖昧でした。 衝動的で扇動的で曖昧なものは、おもしろおかしく好き勝手に扱えました。 『悪』は、『滑稽』にも『美』にも『神』にさえなれました。 こうして人間は、『滑稽』や『美』や『神』に変えられました。 ボードレールのやったことは、それだけのことです。では、ボードレールの言葉遊びに浸りましょう。文中、極めて不道徳で不適切な単語や表現が使用されています。予めご了承ください。

8 身売りする詩の女神さんよぉ

詩の女神さん、あんたはとびっきりのお嬢だ!

あんた、一月の雪が降る、

北風の強い、暗い夜に、

冷え切った紫色の両足を暖める薪を、一人で集める事はできるか?

 

そうか、では次だ。大理石のように固まったその肩を、

窓から差し込む光が、解(ほぐ)してくれるなどと、まさか考えてはいないどろうねぇ?

財布は空っぽらしいが、

夜空の星が、金貨に変わるとでも、思ってはいないよなぁ?

 

まあいいさ。とにかくあんたに必要なのは、

目先のオマンマを手に入れるため、合唱隊のガキのように香炉を揺らしながら、

これっぽっちも信じていねぇ神様の讃美歌を歌うことだ。

 

それか、腹をすかした大道芸人を真似て、

無理くりでお愛想笑いをヘラヘラして、

人様を大笑いさせ、お情けにすがる事だ。