悪(ワル)の華

ボードレールは、人間を『退屈』に住む『悪』だと思っていたようです。『悪』を詠えば、人間の本質に迫れました。 『悪』はまた、衝動的で扇動的で曖昧でした。 衝動的で扇動的で曖昧なものは、おもしろおかしく好き勝手に扱えました。 『悪』は、『滑稽』にも『美』にも『神』にさえなれました。 こうして人間は、『滑稽』や『美』や『神』に変えられました。 ボードレールのやったことは、それだけのことです。では、ボードレールの言葉遊びに浸りましょう。文中、極めて不道徳で不適切な単語や表現が使用されています。予めご了承ください。

68 紙幣

オイラは、とある有名人に尽くした紙幣だ。

オイラの丸まった跡を見れば、

それが分かるだろう。

オイラのご主人様は、ブタ箱に放り込まれちまった。

 

ご主人様が特別の刺激を所望した時、

例えば気持ちのいいセックスをやりたいとき、

オイラはせっせと真っ白い粉を、

ご主人様の鼻に運んだ。

 

誰にもご主人様の事をチクリもしなかった。

そして、オイラはご主人様を虜にした。

魂をがんじがらめにした。

 

あんたの手元の紙幣を、

丸めて鼻に宛がうと、かすかにアルカロイドの気配がしねぇか?

気配がしたら、それはオイラかもしんねぇよ。