悪(ワル)の華

ボードレールは、人間を『退屈』に住む『悪』だと思っていたようです。『悪』を詠えば、人間の本質に迫れました。 『悪』はまた、衝動的で扇動的で曖昧でした。 衝動的で扇動的で曖昧なものは、おもしろおかしく好き勝手に扱えました。 『悪』は、『滑稽』にも『美』にも『神』にさえなれました。 こうして人間は、『滑稽』や『美』や『神』に変えられました。 ボードレールのやったことは、それだけのことです。では、ボードレールの言葉遊びに浸りましょう。文中、極めて不道徳で不適切な単語や表現が使用されています。予めご了承ください。

陽気な女(禁断詩篇より)

お前の顔、しぐさ、気配は、

うっとりする景色のようだ。

笑い声は、そよ風が快晴の空をくすぐるように、

お前の顔の上で、ふざけている。

 

すれ違う人は、

お前のあらわな肩や腕から、

ふき零れる健康美に、

目をすぼめる。

 

お前の服がまき散らす、

甲高い嬌声の色彩は、

詩人のオレに、花のワルツの、

幻影を見せてくれる。

 

お前が肩にかけたコートは、

お前の邪念そのものだ。

キチガイのお前が好きだ。

憎たらしいほど、好きだ。

 

お前に疲れて、

気分転換としけこんで、外気にふれたら、

お日様のまぶしさが、オレを鞭打ってくる。

オレはそれを、意地悪と思った。

 

こうしてオレは、春にバカにされた。

オレははらいせに、

一輪の花をちぎって、

自然の高慢ちきに、仕返しをしてやった。

 

オレの昂ぶりのように、秒針がカッ、カッ、カッと、

時をうるさく刻んだある夜、

お前の身体を、

かわいがってやろうと、夜這いをかけた。

 

まず乳首を目がけて、こっそり、

その身体に密着して滑り上がると、

気づいたお前が、オレを睨みつけた。

オレは無視して、チンポをマンコに……。

 

眩暈の快感だ。

唾液にぬめったお前の唇、

その唇をとおして、オレの毒を、

血のつながった妹のお前に、注ぎ込んでやった。