悪(ワル)の華

ボードレールは、人間を『退屈』に住む『悪』だと思っていたようです。『悪』を詠えば、人間の本質に迫れました。 『悪』はまた、衝動的で扇動的で曖昧でした。 衝動的で扇動的で曖昧なものは、おもしろおかしく好き勝手に扱えました。 『悪』は、『滑稽』にも『美』にも『神』にさえなれました。 こうして人間は、『滑稽』や『美』や『神』に変えられました。 ボードレールのやったことは、それだけのことです。では、ボードレールの言葉遊びに浸りましょう。文中、極めて不道徳で不適切な単語や表現が使用されています。予めご了承ください。

43 詩人の目

オレの目の前に、2つの探照灯かんでいる。

多分、いたずら好きの天使が、それに磁気を帯びさせたのだろう、

オレにまとわり付いて浮いている。この2つの相棒は、

オレの目の中に、透明に輝くダイヤモンドの炎を上げさせる。

 

光る相棒は、あらゆる罠、かずかずの罪からオレを救い、

『詩作』の道へと導いてくれた。

相棒はオレの下僕だが、主人でもあるのだ。

詩人を自称するオレの存在意義は、この探照灯にかかっている。

 

2つの相棒は、

真昼の火。太陽の下では、

赤く見える。がしかし、決して消えはしない。

 

相棒は『死』を称えながら、『誕生』を歌う。

そしてオレに、インスピレーションを与えながら前進を続ける。

探照灯は、太陽に劣らない、好奇心の火の玉だ!