大量生産の粗悪品。
網タイツの脚。煙草を挟んだ指。
グラビアを飾る裸の女。
ひねくれ者のオレは、そんなガラクタじゃあ満足しねぇって。
薄命な美人が、もだえ苦しむ病室の景色は、
俗なイラストレーターに任せたほうがいい。
血の気の失せた薔薇園に、
理想の深紅の薔薇なんか、一輪も咲いてはいねぇからよ。
一筋縄にゃあいかねぇオレっちが、求めるもんは、
そうだなぁ……、荒涼な土地に咲いた殺人の花。
大悪党のマクベス夫人。まぁ、そんなとこだ。
それともあれだな、巨人の舌で舐めるにゃあもってこいの、
悩ましいポーズで、身を捩じっている、
ミケランジェロが彫った、『夜』と名付けられた巨大な像だな。