悪(ワル)の華

ボードレールは、人間を『退屈』に住む『悪』だと思っていたようです。『悪』を詠えば、人間の本質に迫れました。 『悪』はまた、衝動的で扇動的で曖昧でした。 衝動的で扇動的で曖昧なものは、おもしろおかしく好き勝手に扱えました。 『悪』は、『滑稽』にも『美』にも『神』にさえなれました。 こうして人間は、『滑稽』や『美』や『神』に変えられました。 ボードレールのやったことは、それだけのことです。では、ボードレールの言葉遊びに浸りましょう。文中、極めて不道徳で不適切な単語や表現が使用されています。予めご了承ください。

70 埋葬

もしもだ、不気味で重苦し夜に、

非情の腹いせで、凌辱しきったお前の身体を、

セメント詰めにして、

床下に放置したのなら、

 

その地面には、

蜘蛛が巣を張って、

蝮が卵を産み付けるだろう。

星々は見てみないふりを決めたようだ。

 

お前は一年中その頭上に、

狼が鼻を鳴らし、

また吠え立てる声を聞くだろう。

 

そして欲求不満の女たちのすすり泣きや、

好き者の老人のふざけ合いや、

詐欺師の悪だくみを耳にするだろう。