悪(ワル)の華

ボードレールは、人間を『退屈』に住む『悪』だと思っていたようです。『悪』を詠えば、人間の本質に迫れました。 『悪』はまた、衝動的で扇動的で曖昧でした。 衝動的で扇動的で曖昧なものは、おもしろおかしく好き勝手に扱えました。 『悪』は、『滑稽』にも『美』にも『神』にさえなれました。 こうして人間は、『滑稽』や『美』や『神』に変えられました。 ボードレールのやったことは、それだけのことです。では、ボードレールの言葉遊びに浸りましょう。文中、極めて不道徳で不適切な単語や表現が使用されています。予めご了承ください。

77 憂鬱

ガキの頃から、何(なぁん)もやる気が起きなくて、すっかり老け込んでいた。

寄付金を積んだ私立学校のオベンチャラにもうんざりした。

地下室に籠って悪い遊びを覚えた。そこはオレの王国だった。

ゲームに大金をつぎこんだ。オンナを連れ込み複数でヤッた。

だけど、飽きた。退屈だった。

スピードや、葉っぱや、コークや、エクスタシーに手を出した。

他人(ひと)をボコボコにして、調子に乗って、

片輪にした。そして、

「ちょっと、やり過ぎたか」って舌(ベロ)を出した。

クラブの奥の奥、ビップルームはもはや墓場。

「あの子はどう?」とアテンダーの指さす先に、

ヘソ出し、胸元全開、尻をクネらすAV女優を見ても、

「笑える。チョー、フツーじゃん」。

オレを甘やかしてくれた親も、オレの中の腐った要素だけを抽出できなかった。

偉い先生が理事の、高額入所金の更生施設を、

道楽息子を持て余した親は縋ると言うが、

この麻痺しきったオレには、効果なし。

オレには、血の代わりにドブが流れてんだよ。