77 憂鬱
ガキの頃から、何(なぁん)もやる気が起きなくて、すっかり老け込んでいた。
寄付金を積んだ私立学校のオベンチャラにもうんざりした。
地下室に籠って悪い遊びを覚えた。そこはオレの王国だった。
ゲームに大金をつぎこんだ。オンナを連れ込み複数でヤッた。
だけど、飽きた。退屈だった。
スピードや、葉っぱや、コークや、エクスタシーに手を出した。
他人(ひと)をボコボコにして、調子に乗って、
片輪にした。そして、
「ちょっと、やり過ぎたか」って舌(ベロ)を出した。
クラブの奥の奥、ビップルームはもはや墓場。
「あの子はどう?」とアテンダーの指さす先に、
ヘソ出し、胸元全開、尻をクネらすAV女優を見ても、
「笑える。チョー、フツーじゃん」。
オレを甘やかしてくれた親も、オレの中の腐った要素だけを抽出できなかった。
偉い先生が理事の、高額入所金の更生施設を、
道楽息子を持て余した親は縋ると言うが、
この麻痺しきったオレには、効果なし。
オレには、血の代わりにドブが流れてんだよ。